T3で失格とならないために
INDEX
対象競技
対象となる競技はオープンレーンで実施されるトラック競技のうち、中長距離(800mはブレイクライン以降)です。
実際のところは長距離でしか通用しないかもしれません。
失格取消事例の確認
2016年8月27日・28日の2日間、大阪ヤンマーフィールド長居で実施された第4回全国高校選抜陸上。男子10000mでT3により競技者が失格となりました。
2016年全国高校選抜陸上 男子10000m決勝
失格内容
失格となった競技者は、曲線走路で他校競技者と接触しそのはずみでインフィールドに侵入。
「縁石のうえ、内側ライン上またはその内側を走った」ということで「T3」で失格となります。
失格取消
レース後、失格となった競技者のチーム関係者が審判長に抗議したことにより、当該レースの監察員を含め競技運営をする大阪陸協側で協議が行われます。
協議結果は失格取消。失格となった競技者はレースを完走しゴールしていたため、その記録・着順ともに公認されることになりました。
協議内容
大阪陸協の主張
- 他競技者との接触は確認されていない、これは監督・選手・審判員間で確認済
- インに入ったと複数の監察員が認めたので失格となった
- ルールブックに基づけばインに入った時点で失格
- しかし選手はインに入り一旦後ろに戻ってから走っておりこれが議論された
- 競技者は後退しており記録的には損をした形になっている
- 記録的に損をしたので失格取消の結論となった
協議内容の検証
他競技者との接触があったことは間違いないかと思われます。
失格となった競技者とチームメイトの観戦者が、レース後接触した競技者を具体的な名前を挙げてツイートしていることを確認しています。
そもそも接触なしにインフィールドに侵入することなど普通有り得ないでしょう。
しかし、これは協議の論点ではないとの判断によりチーム側は大阪陸協の主張に同意したものと推測されます。
失格扱いが取り消されたポイントは、「インに入り一旦後ろに戻ってから走っており」であるようです。
この点についてさらに検証してみましょう。
事例検証
失格取消理由
大阪陸協の議論の結論として、失格取消となったポイントは、
「インに入り一旦後ろに戻ってから走っており記録的に損をした」
ということです。
後退とは何を意味するのか
後退という言葉が今一つ曖昧で、実際どのような行動であったか定かではありません。
相対的なのか絶対的なのか。
つまり、「相対的」侵入した位置と同じ場所、もしくはそれより前方でトラックに復帰したが順位を落としたので相対的に後退と見なされたのか。
もしくは、「絶対的」実際に後退し侵入した位置よりも後方からトラックに復帰したのか。
どちらか分かりませんが、監察員に明らかに後退し記録的に損をしたと印象付けるには「絶対的後退位置」を選択した方が確実でしょう。
すなわちインフィールド内で少し戻って侵入した位置よりも後方からトラックに復帰した方がより取消の可能性が高くなるかと思われます。
失格対策
結論
イン侵入時にとるべき行動
まず、インフィールドに侵入した時点で失格扱いになることは確実です。
しかし、あきらめずにレースを継続しましょう。
まずトラック復帰は、タイムはロスしますがイン侵入位置より後方から。
そのあとはゴールを目指して走るのみです。
最後は審判長の判断
この行動をとったからといって必ず取消扱いになるとは限りません。
その競技会の運営を行っている陸協の判断にゆだねられます。
「大阪陸協は大阪陸協、うちはうち」といわれてしまえばそれまでです。
しかし、実際に失格取消になった事例があるのですから、重要なレースではやってみる価値はあるかと思います。
最後に
大阪陸協の協議内容は、実際に協議の場に居た審判員(当該レース監察員ではない)のツイートから判明したものです。
私の「競技者の立場で判定して欲しい」というツイートに対する、引用ツイートでした。
内容がきわめてリアルであり、当人の他のツイートから観ても確かなものであると思われます。
全国への予選レースでの失格、高額な遠征費を使って行った県主会場での失格。
ノーマークの結果により、幾人もの様々な目標を持つ競技者が無念のうちに競技生活を終えたことでしょう。
どうか総ての競技者が、日々の練習の成果を活かすことができる納得のいくレースを、目標を達成できるレースをできますように。
その一助となれば。