まましたゆうすい [ 湧水 ]
「東京の名湧水57選」のひとつ。「青柳段丘」崖下に湧出する湧水群。
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詳細
JR南武線「矢川」から南に甲州街道を横切り多摩川に向かって歩くと武蔵野台地からその多摩川へ下る「青柳段丘」と呼ばれる崖に出ます。その崖下にあるのが「ママ下湧水」です。
「ママ下湧水」の所在地は、「東京の名湧水57選」では国立市谷保になっていますが、湧水は崖線沿いに複数箇所あり、国立市矢川の場所の方が、一般的に認知されているようです。崖線沿い周辺一帯の湧水を含め「ママ下湧水群」と呼んだ方がふさわしいのかもしれません。
湧水を育む崖の上の武蔵野台地には森林はなく住宅地や農作地が広がっていますが、それでも地下水脈が枯渇せず豊富な水量を保っているのは、いかにこの地下水脈が広範囲の水循環の大きな役割を担っているかということの証明になるでしょう。
そして水質劣化がそれほど進んでいないことについては、自然の力強さを感じるとともに、都市化して長い年月が経過し成熟した国立市の行政の成果を無視することはできないでしょう。
新しい道路建設により、その周辺地帯の景観は一変したそうです。そして偶然にも都市化以前の姿に近い状態で近年まで保全されていた場所には、「ママ下湧水公園」なるものが整備され、ここも都市の中の「施設」に状況は変わりつつあるようです。
道路建設により地域住民の移動における利便性は格段に向上したことでしょう。道路建設は環境を破壊し、さらにその道路がもたらす人の動線変化によりさらに破壊は進みます。
しかし、そこに住んでいる人々は環境保全よりも生活の利便性を求めるのは当然のことでしょう。住民総意による行政などありえません。住民総意をもとに行政を進めようとすれば、結局は何も決まらず何もできないことになってしまうのは日本中の地方行政で起こっていることです。
「ママ下湧水」が道路建設によってその一部を破壊されたことは非常に残念なことですが、たとえそれにより将来的にこの一帯の湧水群が致命的な打撃をこうむるに至ったとしても、ここに住んでいない人間には何もいうことはできないでしょう。
大切なのは、地方自治体の長期的な視野に立った都市開発計画です。選挙毎に入れ替わる可能性が大きいトップの下、トップが入れ替わればこれまでとは全く違った方向性に進まざるを得ないこともあります。そんな中で、行政を行う自治体職員は方向性が定まらず苦労が耐えないのが実情。
任期中、事なかれ主義に終始するトップの下で、それに左右されない、そして縦割りではなくさまざまな面から考慮した長期的な都市開発計画によって行政が進められることを望まずにはいられません。
「ママ下湧水」における環境破壊は、首都圏の各地で幾たびも繰り返されてきた愚行のひとつです。人口集中が進む首都圏の、日本中の価値を集中させているその報いと判断せざるを得ないでしょう。そして奪われた価値を取り戻すべく、地方では公共工事という名で自然破壊が進んでいます。
画像
参考資料
リンク
アクセス
場所:東京都国立市谷保
JR「矢川」下車、徒歩15分駅
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